古の道を聞きても唱えても


-たったったっ-

あっ!シンヨウ先生だっ!!

「せんせぇ〜ぃっ!!」

「おおっ!どうしたのじゃ、じっぺい?

そのように慌てて…!」

-たったったっ-

「先生っ、おりぇ!

この山を降りようと思います!」

「…そうかっ!!」

「はいっ!

おりぇ!

火ギツネを探しに行って、

森を守りたいから、

行ってきます!」

-たったったっ-

「うむっ!意気や良しっ!!

己が信じる道を進むのじゃ!」

「はいっ!」

「これは餞別じゃ!持っていくがよいぞ!」


-ひゅるる〜-


-ぱしっ-

「何ですか、こりぇ!?」

「それは四書五経

(ししょごきょう・ごけいとも)

のうち、

ワシがいくつか選んで写本したものじゃ!」

「…あっ、ありがとうございます!」

先生、わざわざ写本してくれたんだ!

「おヌシの巻物とは比べるべくもないかもしれん…

しかし時代は変われど、

人の世の真理は一つじゃ!

大いに学び、中庸(ちゅうよう)を知るのじゃぞ!?」

なんで先生は、

たまたま出会ったおりぇに、

ここまで優しくしてくれるんだろう…!

-ズズズッ-

あっ!いけねっ!鼻水が出てきちゃった!

「はっはっはっ!泣くなジッペイ!

お役目を果たさば、また戻ってこれよう!?」

「はっ、はいっ…!」

「山の麓に、おヌシの道案内をする者が待っておる。

まずはその者と、

九重(くじゅう)を目指すが良い!」

「くじゅう…?何処ですか?そりぇ!?」

「この山を下り、南に進んだ場所じゃ!

火の山に行く前に、

おヌシは行かねばならぬ…!」

「はっ、はいっ…!」

何があるんだろう…?

それに先生のこの目つき、何か怖いな…

-ズルズル-

「…じっぺい」

「はい!」

-ズルズル-

-ぶしゅ-

「…まずは鼻をこれで鼻を拭くのじゃ!」

「…はひっ」

-ちぃ〜んっ-

-じゅるじゅる-

「ありゃ…」

-びろ〜ん-

シ「…ううむ」