我が名はシンヨウ


「おヌシは何者であるか?」

うわわわわっ!?

尻尾がいっぱいある…!

何だこのキツネ!?

すっごい威圧感だ!

目が合わせられないや…!

「二度も問いかけるのはなんじゃが、

おヌシは何者じゃ?」

まずいなっ…!

体が動かないぞっ!

−ガチガチ−

「おっ…!おりぇの名前はにょるじっぺい!

そっ、そんでこれはカッコントウでぇす!」

「尋ねてはおらんが、それは薬筒であったか…

それで、にょるじっぺい、何処より参った?」

「…ぶっ、無礼な人だな!こっちが名乗ったら、

そっちも名乗るもんでしょうに…!」

「…これは失礼仕った♪

我が名はシンヨウ

鎮西(ちんぜい)より参り、

今は遊学の身である!」

−ぺこり−

「あっ、いえいえ、こちらこそ…♪」

−ペコリ♪−

なっ、なんだ♪

話せそうな人で良かった~♪

「実はかくかくしかじかで!」

「…ふむむ、火ギツネとな…!

なかなか珍しいものを探しておるな!!

火ギツネはこれより南西の方、

我が祖国である鎮西の中程、

火の山’の火口付近に住んでおるぞ!」

「えっ…‘火の山’にいたのっ!?

…2、3週間前に通ったのになぁ〜!

あ〜ぁ…!」

−ガク〜ン−

「そんなに落ち込むでない、若人♪

おヌシの脚なら、すぐにでも参れようぞ!

…とはいえ鎮西は遠き方じゃ。

ワシが送り届けてしんぜよう!」

「いやぁ〜!送り届けるなんて、

そこまでして頂かなくても…

…ぅわわわわわっ!!」

うっ、浮いたっ!?

「我が術をしかと見よ!」

−どどーんっ!!−

−ひゅるるっ!!−

「ぅうううううわ〜〜〜〜ぁ!!

あぁぁぁぁぁぁ…」

-キラーン-