我、真っ赤!


-ずぞぞぞぞっ-

「うまいですね♪このおソバ!」

「本当ですね!これは絶品!

こちらの葛きりは食べましたか!?」

「おっ!そいつはまだ♪」

-ズゾゾッ-

「その代わり、こっちのそばがゆは食べましたよ♪

良かったらどぉぞ!」

「すみません♪」

-パクッ!-

「ホォ!これはまた♪」

「でしょお~♪」

-ズルッ!-

「ところでアルフレッドさん!」

「ハイっ?」

-もひょ-

「このお店の名前、何ですか?

‘我、真っ赤!’

って不思議な名前ですよね!?」

-もひょもひょ-

「そう言われてみると、奇妙な名前ですね…

店の入り口にある小さな小川に引かれて、

店の名前には注意を払っていませんでした!」

「ああっ!あの水車!

すっごくイイですよねっ♪」

-ズゾゾッ-

「本当に…風情がありますねぇ♪」

「そうですねぇ〜!

いや、アヒルどのはわかる人ですねぇ〜!」

しまった!

またアヒルどのとっ…!!

「いやいや、じっぺいさん♪

なかなか味わえない旅情を、

一緒に楽しめる方だということに、

私も嬉しい限りです!」

「いや、そんな…♪」

アヒルどのって呼んでも、

本当に気にしないなんて、

スゴい人だっ…!アヒルどのはっ!

「はぁいはぃ!

デザートのそばアイスになります♪

こちらにそば茶のお代わりを置いときますね!

…それにしてもお兄さんたち!

若いのにオジサンくさい会話してるわねえ♪」

「ああ、すいません!

って、そんなにオジサンくさいですか…?」

-ぺこり-

「おばちゃんたちだって、

そんなこと、若いときに話さなかったわよ!」

「ハハハッ!

これは店のご婦人に一本取られましたね!」

「いや、まったく!ハッハッハっ♪」

「やあねぇ、アンタたち!オジサンくさいわねぇ♪

アイス、持って帰ろうかしら!?」

-ガタっ!-

-ガタン!ゴトッ!-

「そんな殺生な!」

「ご婦人…それだけは…!」

「まだ子供ねぇ♪アッハッハッハッ♪」

「女将さん、子供をからかっちゃイケねえよ!

どうせ絡むならウチの叔父貴の方に頼むよ!」

「やだよぉ!アンタんとこは!

ずっと酒を飲むばかりじゃないか!」

-キラリ…!-

「あっはっはっ!

…んっ?

今、アヒルどの…目が光りませんでした?」

「いやいや、じっぺいさん…!ご冗談を…」

なんか今、アヒルどの…おかしかったな??

「ところでオバさん!

ここの我真っ赤、素敵なお店ですね♪

あの水車、音が綺麗で!」

「あっはっはっはっ♪」

「ハハハ!我真っ赤か!

そいつはいい!

ハッハハハヒっ!」

…ん?

どうしたんだろう??

「アンちゃん!

ワレモコウって読むんだよ!

吾亦紅(われもこう)!」

「…ああっ!」

「オオッ!」

「アッハッハッハッ!

我真っ赤!

アッハッハッハッ!」

「ヒヒヒハッ!

飲んでもねえのに、

酔ってるのかと思ったよ、兄さん♪」

「お、お恥ずかしい…!」

「あら、やだ!

こっちのお兄さんが真っ赤になっちゃったよ!

アッハッハッハッ!」

「ハハハッ!」

「あ、いや、参ったな…」

-ずぞぞ…-